ミクスチャーの元祖ギョーム・デュファイの15世紀の音楽

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ミクスチャーはロックの世界ではリック・ルービンが手がけたエアロスミスとRUN DMCの共演に始まり、90年代中盤に、レッドホットチリペッパーズやリンプビズキットのようなミクスチャー音楽が流行しましたが、音楽の歴史を見ていくとミクスチャーというのは作曲技法を発展させる基本的な技術として大昔から利用されています。

15世紀の作曲家ギョーム・デュファイ(Guillaume Dufay)もミクスチャーの元祖と言える存在です。
デュファイは中世音楽をルネサンス音楽へと導いた作曲家ですが、ベルギーに生まれ、フランスの教会で音楽教育を受け、イタリアに移住して活動し、現在のドイツにもパトロンがいたため頻繁に滞在したなどヨーロッパ各地を転々とした影響で、フランスの長いメリスマ、頻繁なシンコペーション、自由な不協和音程のシャンソンや、イングランドの3度や6度音程を導入した音楽、歌詞を聴き取りやすくするための定旋律に対して平行進行で6度上や完全4度下のパートを加えるフォーブルドンを導入したり、タレアとコロルと呼ばれる個数が異なるピッチの配列とリズムパターンの配列をずらして反復させるフランスのISOリズム、イタリアの華麗なメロディーの多声音楽であるトレチェント音楽やマドリガルに特徴的なリトルネロを導入するなど、ヨーロッパ各地の作曲技法を組み合わせた作曲家でもあります。
デュファイの作曲法の発展史を見ることは中世からルネサンスの音楽への発展史そのものを見ることだったりします。


Nuper Rosarum Flores – Guillaume Dufay

デュファイの功績はフォーブルドンをはじめとし、一貫した定旋律で各章を統一させる循環ミサと呼ばれる形式を確立したこと、定旋律に世俗音楽(宗教的題材ではない主に恋愛をテーマにした今で言うところのポップス)を導入したミサを書いたこと、三声(三位一体の3という数が重視された)が主体であった音楽を四声主体に変えた(後の調性音楽は四声が基本)ことなど実に大きいです。
また、三度を導入して四声にした結果上の動画のNuper Rosarum Floresでは曲の終結部にドミナントモーションが出現し、これ以降の現代に至るまでの音楽に影響を与えています。

このデュファイの様式は後にヨーロッパ全土の音楽の共通基盤へと発展しました。
つまり、ミクスチャーは一発芸みたいなクセのあるものではなく、ある程度の普遍性を持たせることも可能であったことを証明しています。
今どきのロックバンドやポップスの歌手がラップを導入することが奇抜に感じなくなっていることと同じです。

各地の音楽をまとめあげ、次の時代の指針を作ったデュファイの功績は音楽の歴史では軽視されがちですが、しばしば言われるように少し古くなりかかった時代の音楽を徹底的に洗練させたJ.S.バッハを凌ぐものではないでしょうか。
15世紀後半は他の時代と比較して、急速に音楽の様式が変化した時代と言われていて、そのこととデュファイ一人の能力とが無関係であるとは考えにくいです。

quelltllでもデュファイの作品を取り上げて現代的なダンスミュージックへリメイクしています。
quelltllの作品を通じて原曲への関心を高めてくれたり、アレンジへの違和感を感じたりいろいろあるでしょうが、作品を通じて何か爪痕を残せればと思います。

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